1/8 瑠玖羽(るく) 製作編

04’9/23
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さて今回から始まりますこのメイキングは今までと趣向を変えまして、日付け入りのリアルタイムでお送りしようと思います。いわば『24』?(←違) 今までは事後報告でしたからねェ。さてお題になりますのは『あさりよしとお』氏のマンガ『るくるく』の『瑠玖羽』です。あさりキャラは以前から作ってみたかった事もあって、次回の参加予定イベント『WF2005冬』の出典作に選びました。ですからこのメイキングも半年かけてじ〜っくりと更新していきますんで、お付き合いヨロシク! …とはいうものの、今現在はこのスケッチだけでな〜んにもできていません(笑)。フィギュアのポーズ等は今後変更になる可能性もありますが、それも含めてお楽しみってコトで…。

さてまずはこの1/8・14cmというサイズについて。実際のトコロ、るくの公式な身長は発表されていないので、画面からの推測で120cm弱であろうと判断。まぁ、マンガキャラのスケールなんていい加減なモンなんですが、表記がないとお客さんがサイズを想像しづらいだろうという配慮から、こう設定しました。服装は普段のエプロン姿もイイんですが、他のトコロでも作ってるので、まだ誰もやっていない(?)黒のワンピに決定。胸元のドクロがチャームポイントですな。さらに鉄球や買い物カゴ、ブブといった要素を加えて、るくの決定版を目指します! さて、どうなるコトか…。


04’10/24
るく1 んで、よーやく製作開始(遅ッ)!。正直、いつもの創作フィギュアのペースで考えていたので、申請用の写真撮りがあるのをすっかり忘れてました(笑)。田中氏にはっぱをかけられてやっと始めたワケです。持つべきモノは友ですな(涙)。

さて写真1は芯にしたレジンブロックです。
複製の時に出る余り物で、パテの節約のため私は大抵コレを使います。レジンのリサイクルにもなるしね。そのため普段から複製時のランナー役に5mm角棒を使い、湯口も四角くとる様にしています。こうすると再利用しやすいのよねン♪ 今回はサイズが小さいのでこんなモンですが、大型フィギュアならさらに幾重にも張り重ねていきます。しかし、きたねーカッターマットだなァ…。そろそろ買い替えようか…?

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写真2はレジンにヤスリをかけた状態。

レジン表面には離型剤が付いているので、それを落とす意味もあって、バリバリヤスリをかけます。パテの食い付きもよくなるしね。角はあらかじめ丸くしておかないと、あとでそこだけ出っ張ったりして面倒なので注意! 使ったヤスリはタミヤのクラフトヤスリPRO

るく3 写真3。立ちましたー♪

ここまでくれば出来たも同然(早ッ!)。首は細いのでアルミ線でつないであります。足はそのままだと棒の様になってしまうので、ライターであぶって少し曲げています(膝が焦げてるでしょ?)。レジンはプラより発火しにくい材質ですが、火の扱いには充分注意してッ!! 接着は瞬着で。各ブロックをアルミ線でつないで、微妙なポーズを検討するテもあります。


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るく4 うをーッ、怒濤の更新!! なんせ写真申請までにそこそこ形にしなきゃなんないので、急ぐのだ。最初に「リアルタイムで更新」と言った手前、写真をため込んでおいてあとで一気に更新…というワケにもいかないし(泣)。

つーワケで写真4。芯にパテを盛り付けたところ。
使ったのはおなじみウェーブの軽量エポキシパテ。おいらは1/8以上のフィギュアを作る時はいつもコレです。柔らかく練りやすいし、硬化も早い。そしてポリパテ師、田中冬志もびっくりの軽さ(←実話)。ただ若干キメが粗いので細かい造型には向きません。

お供の悪魔”ブブ”の造型も始めます。

るく5 鉄球を持つ手を作ります。こういう物を持った手は、最初は別に作って、あとから取り付けた方がイイようです。持たせているのは3mmアルミ線。
るく6 ちなみにコレが硬化促進に使っているオーブントースター(きたねェなァ)。オーブンレンジを買ったのでコレは模型専用になりましたが、それまではこいつでパン焼いて食ってました(ゲッ)。
るく7 そして写真5の手首と合体!
ポーズがちょっち変だったので、両肩と左肘を切断して調整。首はアルミ線が見える程度まで切り込みを入れて、曲げて角度を変えています。顔には今後の造型に備えて、シャーペンで目鼻のアタリを入れておきます。

ちなみに写真6のトースターの使い方ですが余熱を利用します。まず1〜2分カラ焼きしてトースターをあたためてから(手を入れられる程度)、フィギュアを金属トレイに乗せて中へ入れます。熱すぎるとパンの様にふくれて失敗するので注意! フィギュアは金属クリップ等で固定しましょう。30分ほどでパテが変形しない程度まで固まるので、今度は少し熱めにあたためてフィギュアを投入。一時間程度でほぼ硬化します。完全硬化にはもうひと焼き必要ですが、作業には支障ないと思います。


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るく8 写真7で切り離した腕の隙間などにパテをつめて一体化し、全身にも肉付けしていきます。耳もこの時点で付けました。耳の位置が決まらないと、ホホやアゴの線が出しにくいので…。耳はデカく見えますが、あさりキャラって元々耳デカいし、るくは髪のボリュームがスゴイので、これでも足りないかもしれません。

背景の黒いトレイはエポパテをねる時用の水入れ。サンドペーパーで水磨ぎする時にも使います。元は和菓子が入っていたお皿でした。

るく9 さらに削ったトコロ。ここまでに使った道具はデザインナイフ金属ヤスリぐらいです。成型色が肌色っぽいので、なんかなまめかしいですねー(笑)。

腕はやっぱり気に入らなくて再度修正。持っている棒の角度が変わっているのが分かるかな? なお最初のデザイン画で『右目は作らない』と書いたのに、なんで作ってるかといいますと、両目がないと顔のバランスが取りづらいからです。よって右目は後ほど埋める予定。

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写真9の修正でできたスキ間を埋めたあと、分割しました。これは手首や足の内側を仕上げやすくするためですが、一応本番の分割も見越したラインで切っています。使ったのは最近購入した糸ノコ。本体はドイツ製で指輪などの金属加工に使われるものらしく、アルミや真鍮もザクザク切れる頼もしいヤツです。刃はスイス製で0号を使用。もっと細い物もありますが、折れやすくなるので扱いがムズかしいと思います(コレもけっこう折れるし←笑)。

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ここらでちょっちパーツ分割の一例を。頭のカチューシャ(リボン?)のラインで分けますが、まずシャーペンでアタリをとり、ドリルで分割線に対してなるべく垂直に穴を開けます(今回は2mmφを使用)。こうしておけばあとで部品がズレる事なく組み合わせられます。穴はふたつ開けると効果的。でも穴同士はなるべく平行になる様にネ。そしてノコギリで分割。耳の曲線部分には糸ノコを使いました。
るく12 るく最大の特徴である髪の製作に入ります。

芯にしたのは以前某原型を作った時に自作したレジン製パイプ(直径7cm!)。余った分をとっといたんですが、まさかこんなトコロで生きるとわ!(ビンボーモデラー←笑)。これを切って組み合わせ、それっぽい形に整えます。この表面をモーターツールで荒らして、パテを盛っていくワケですな。……とココまで来てハタと気付く。
うわッ、この髪型の分割方法、全然考えてなかった(ガーン!)!! 一発抜きなんてできるサイズじゃないし、単純にブッタ切ってユーザーに継ぎ目を消してもらうのもどうもなァ…。部品の自重がありそうなので、経時変化で継ぎ目から割れてしまいそうです。どどどど、どないしよう…(滝汗)。


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るく13 写真13。髪の毛のラフな盛り付けが終わったトコロ。一気にるくちゃんらしくなりましたねー♪ 萌へ〜…って南足(きたまくら)かッ!! 

デザイン画からは髪の左手のポーズが変更になりました。抜きの都合を考えての事ですが、人指しユビに買い物カゴを引っ掛けるつもりです。この髪の毛の造型だけで軽量エポパテを半箱ほど使用してしまいました。もし芯がなかったら、一箱まるまる使い切っていたことでしょう…。ビバ、芯ッ!! 当然この頭部は本体そのものより重いです(笑)。全然立たないので、フィルムケースの支えを承認。さてこれからどう分割するかで頭を悩ますワケですが…う〜ん??(汗) スカートを付けるために、すでに腰でも分割されています。

るく14 道具解説コーナー♪

でたーッ『スピンやすり』!! 私はもうコレがなくてはフィギュアを作れません(断言)。左側の充電式の物をメインで使用していますが、連続稼働時間が30分しかないので、電池式のモノを予備にしています。アダプター式に改造しようかとも思ったんですが、おっかないので断念(笑)。でもコードが付いてない分、取り回しが楽です。

このメーカーは結構マイナーらしく、電器店でもあまり見掛けないのですが、私は近所で充電式を1500円、電池式を800円程度で入手しました。ヘッドには加工を加えて厚みを薄くしています。ヤスリ部にはスポンジヤスリを使用し、番手は三段階用意しています。

スピンやすりについては私が説明するより、こちらをのぞいた方が早いと思いますので、ここに外部リンクを設置しておきます。私も参考にしました(笑)。

うさPハウス『スピンやすり統合ページ』

るく15 こっちはスパチュラ…と言うのもはばかられる様な粘土ベラです。見ての通りタミヤの調色スティックを削って自作したモノですが、結構使えますよ♪ 方法はいったって簡単で、ヤスリで好きな形に削ったあと、サンドペーパーで仕上げるだけ。そのままだと細くて持ちにくいので、私は面相筆の軸を縦に割ってサンドイッチ状に取り付けています。2本で300円と安いので失敗しても全然平気。

ちなみに右端のモノが一番使用頻度が高く、他のモノは補助用です。

るく16 実際には写真13から2〜3日たってるんですが、ハネ毛も付いてますまするくちゃんらしく! 萌…(←しつこい)。

ところで若干ポーズが変更されたの分かります? 少し腰を前に突き出した、いわゆるS字立ちになっています。体全体も肉付きをよくして、少しぽっちゃりさせました。これはこのコーナーを作りながら写真を見ていて気になったための変更なんですが、フィギュアを作る上で一度写真に撮って全体を引き目で見てみるというのは、欠点を発見するのに有効な手段なのかもしれません。ずっと同じ距離で見ていると目が慣れちゃいますからね。うん、イイ事に気付いたなオレ(笑)。

るく17 こちらは見ての通りタミヤのアクリル溶剤の小瓶です。何に使うのかといいますと、エポパテをのばす際に指やスパチュラに付けるんですねー。こうするとベタベタとくっつかないんです。これはセメダイン木工パテなどの軽量パテ全般に有効で、手に付いたベタつきも拭き取る事が出来ます。ただしパテを練る際には使わない事! ドロドロに溶けちゃいますよ。

ミリプットなどの水溶性パテは水で溶けるので、この溶剤は不要です。


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買い物カゴ用に用意したのはドールハウス用の竹カゴ。写真では一個出しちゃってますが、実際は二個入りで300円でした。ドールハウス用グッズには使える物が多いので、フィギュア者も注目です。さてそのままではあまり買い物カゴらしくないので、お湯で煮て柔らかくしてから乾くまで輪ゴムで止めておくと、ものの見事にペッタンコに! 複製するにはカゴの目をひとつひとつ埋めて、シリコーンが食い付かないようにする必要があって面倒なんですが、このフンイキはパテでは作れません。あとは手下げ部分を作ればOK。問題は中身をどうするかですな…。
るく19 イッキに作ったベース(まだ途中ですが…)。こういうクリーチャー系の造型は専門外なんですが、結構面白いですねー♪ 

ブブの目はボークスのボールジョイント。鉄球はア○シマ・ポケットパワーシリーズのカプセル(懐)! 手や毛は2mmフレキシブルロッドです。ちなみにブブの毛って連載開始時は多かったのに、今では4〜5本に。まるでオバQ(笑)。

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…というワケでここまでの総括として全体像を大きめに公開! これが版権申請用に送った写真です。カゴはとりあえず針金で引っ掛けてみました。全体を組んでみて気付いた点もいくつかあるので、それは追々修正していく予定。でもシルエットに大きな変更はないと思います。ちなみに問題になっていた頭髪の分割ですが、この時点で完了しています(大雑把にですが…)。一見分かんないでしょ? その秘密はまた後ほど…(←引っぱるねぇ)。

さて、この二週間でどっと更新して来たるくですが、ここらでちょっち一休み。本業の仕事もたまってるしネ(苦笑)。つづきは版権申請の結果が出てからになると思いますんで、それまでアディオス!!


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るく20’ …と思ったんですが、その後緊急事態が発生ッ!!

実は当ページを見ていた読者の方からメールを頂いたのです。その内容は…『講談社の版権申請は、完成写真でないと受け付けてもらえないらしい』という事でした! ところがすでに写真は発送済み! あわててWF委員会に問い合わせたトコロ、〆切り前なら写真の差し換えに応じてくれるとの事でしたので、急遽不足分を作り足し、塗装までを二日(!)で完了させたのが写真20’です。これでダメなら本望といったトコロでしょうか(笑)。この講談社の版権システム変更については、少なからず混乱がある様です。大きなトラブルが起きなければいいんですが…。ちなみにコレは暫定完成品なので小さな写真で我慢してネ♪


05’1/24
さて年明け一発目〜♪ めでたく審査も通ったので製作再開です。なお画中の部品が少々ばっちいのは、いったん塗った塗料を落としたため。軽量エポパテは高密度のスポンジの様な構造なので、塗料がしみこんで完全には落ちませんでした。
るく21 さてそろそろパーツの分割を始めた方がイイので、今回はダボの作り方をご紹介。

私は自作GKの場合、かなりしっかりしたダボを作る上、このるくはちょっち特殊なネタを仕込んでいるので(ネタばらしはまだヨ♪)あまり作例としてはふさわしくないんですが、普通にやる場合も基本は同じです。まずダボを付ける位置にリューターで大きく穴を開けます。

るく22 んで、穴の内壁にエポパテをつめてから、グリスをたっぷり塗った5mm角棒を押し込みます。私のキットは真鍮線を使わなくてもある程度組み上げられるようにするため、この様なゴツいダボになっていますが、通常は部品がずれない様にする目印程度のものが多い様です。3〜5mmくらいの金属球をダボにすると便利。
るく23 最終的にはこうなりました。普通はここまで細かく分割しないです(苦笑)。角棒のダボは深いのでグリスを塗ってもうまくはずれず、ハンマーで叩き出す必要がありました(泣)。

これらの部品は最初に全て切り分けてからダボを付けるわけではなく、一ヵ所ずつ仕上げていきます。つまりこの下半身の場合、四つ切断箇所があるので、四回の工程になるワケですな。そうしないと切り離した部品が元あった位置を知る手がかりがなくなってしまい、非常に困った事になります。足に付いている二本の真鍮線も、分割前に左右の足を貫通させておき、位置がずれないようにするための物なんですねー。

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ABパーツのドッキング面です(笑)。最初にリューターで大きくえぐっておき、エポパテをつめてから、グリスを塗ったダボを押し込みます。んで、半硬化時にえいやとはずせばOK。この場合パテが少し接合面にはみ出してしまい、部品同士が密着していないので、はみ出しを取り除いた後、穴を少し深くするかダボを少し低くするかの処置が必要になります。あ、部品は台所洗剤と古歯ブラシで洗って、グリスを落とすのを忘れないでねー。

この軽量エポパテはわりと柔らかいので、こういうダボ付けがやりやすいです。ミリプットは固めなので不向き。一番いいのはペースト状のポリパテですかね。

るく25 ちなみにおいらが使っているグリス(直径約2cm)。なんと中学時代に授業で使ったアルトリコーダー用のモノ(爆)。ものもちイイなぁオレ。でもさすがに残量わずかなので、後釜を考えねば。

なお表面の英字はZIONではナイので注意(大爆)。


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そしてサフを吹き、延々表面仕上げをして、よーやく原型完成〜。…と思ったら、この写真を撮ったあと、ブブの後頭部の縫い目を作り忘れていた事に気付き、さらに汗もあった方がいいと思ったので、双方追加しています。商品では上のパーツ以外に、金属チェーンと田中氏の協力による瞳デカールが付属します。そしてなんとこのキットは黒・白・肌色の三色成型! さらにさらに、ほとんど接着剤や真鍮線を使わずに組み上げられるスナップフィットモデルなのです!! つまり湯口を削ってはめ込むだけで出来てしまうんですな♪ うーん、画期的。

05’2/20(←フィクションです(笑))
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…そして成型し、無事WFに間に合いましたとさ…どっとはらい(懐)。

この写真はパーツに軽くスミ入れをして組み上げただけのものですが、けっこーイイ感じですね♪ 成型色は薄めになっているので、買ってくれた人はシャドウを入れてもらうと、もっとよくなると思います。でも手流し成型の限界で、気泡の修正が大変だったりするので、素組みで雰囲気を楽しんだら、全塗装して仕上げた方が楽かもしれません(笑)。

買ってくれた人、ちゃんと作って下さいねー♪

完成画像はコチラ!⇒Galleryボタン
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