1/6 万葉さま 製作編

10’12/17
毎度お馴染みメイキングコーナーです♪ 最近はすっかりケモノモデラーとしての地位を確立した私ですが(そうか?)、今回は久々に可動ではない固定フィギュアに挑戦です! しかも公私共に初めての造形となる1/6スケール!! さて、どうなりますか…。

さて、まずは上のイラストを見て下さい。『あれ?伊藤霊一ってこんな絵だったっけ?』と思ったあなた、正解です! これは私が描いたものではなく、某お絵描きサイトpi◯ivなんかで公開されている、他の絵師さんが描かれたイラストなんですね。このキツネさんはいわゆるオリキャラでして、名前は『万葉(まんば)さま』といいます。

原作者は左の稲荷屋さんで、それにレスポンスを付ける形で絵を描いたのが右のことらさんです。私はこのことらさんの描いた万葉さまにひと目惚れしてしまいまして、フィギュア化したい旨を両者に打診しました所、快く承諾していただきました。改めてお二人に感謝感激です♪ こういう形でのコラボは私としても初めてですので、緊張しますね〜(汗)。

さて作るからには当然WFでの販売を前提としているワケなんですが、ここで問題になってくるのが件のR-18規制です。実際のところ我がB.M.Wは、次のWF2011冬においてはR-18申請はしておりません。画像が微妙な位置でトリミングされていることからも分かるように、この万葉さまはかなりセクシーな出で立ちなのですが、まぁケモノだし○×△まで造形する訳じゃないから大丈夫なのでは?と現状では判断しています。ただし、いざ当日になってWFのえらい人から『エロいから売っちゃダメ!』というお達しが出る可能性もあるので、その場合は販売中止となってしまいます。こんな危ない橋を渡るくらいならR-18に申請しておけばよかったんですが、製作を思い立ったのが書類受け付け〆切り後だったもので…。(追記:結果、大丈夫でした♪)

つか、そんな心配をする前に、まずはちゃんと完成させないとな〜。ま、間に合うのか(汗)!?

で、例によって芯作りからです。引っ越しの際のゴタゴタで、昔作った1/7命(みこと)の抜き損じ部品を発掘したので、それを芯にしています。この命はMG誌に載ったこともあるんですが、覚えてる人いるかな(笑)? 

レジンの部品を2mmアルミ線で接続し、隙間はレジンブロックで埋めてエポキシパテの節約を計ります。ことらさんのイラストだと右手がどこに行ってるかイマイチ不明確だったんですが、収まりのいい位置として左膝に置いてみました。このあと隙間にエポパテを詰め込んでポーズを固定し、ひたすら肉付けしていきます。この時点ですでに22cmもあるんですよね〜。さすがにデカいぞ、1/6!

この段階ではあまり難しいことは考えず、ただひたすらパテを盛り付けて人型っぽくしていきます。使用しているのはWAVEの軽量エポキシパテですが、すでに一箱を使い切りました(汗)。うーん、さすが1/6。ハンパじゃないっス。体積でいうと1/8の約2.2倍ですからね〜。

ハッ!? すると消費するシリコーンやレジンの量も2.2倍!? (今さらながら)どひーッ!!


10’12/26
軽量エポパテ二箱目がカラに。下半身を中心にどんどん盛り付け、かなり太く肉感的になりました。するとポーズやプロポーションの不自然な部分が見えてきたので、あちこちぶった切って角度を調整しています。特に上半身は通常ではあり得ないほどひねっているので、肉の付け方が難しいですね。右腕はおなかを作る際に邪魔になるので、一旦外しています。
エポパテは手で練りますが、これだけ大量に練り続けるとさすがに指先が荒れてきます。グレーの軽量エポパテの場合、色移りして指が黒くなってきたり…。

そこで便利なのが使い捨てのポリ手袋。練る際にこれを着ければ、かなり指先を保護できます。使い捨てということですが、穴さえ開かなければ4〜5回繰り返し使えます(←せこい)。

表面を粗い金属ヤスリでバリバリ削って、極端な出っぱりを均していきます。おっぱいと顔の造形も始めましょうかね。体型は基本的に人間と同じですが、足首はケモノっぽい三本指にしました。

冬場はパテの硬化速度が遅くて困ることがあると思いますが、私は足元の暖房に電気ストーブを使っているので、その前にフィギュアを置いて硬化を促進させています。ただし暖めすぎるとパテがパンのように膨らんでしまったりするので、ストーブとの距離には注意しましょう。それとくれぐれも火事にはならないように!

えーと……何でしょうねコレは(汗)。カッパか宇宙人みたいですが、耳を付ければちゃんと可愛くなる……多分なると思う……なるんじゃないかな……ま、ちょっと覚悟はしておけ(byさだ)。ケモノ顔の造形というのはなかなか難しく、特に今回は口で悩まされました。元絵のような口をそのまま再現しようとすると……
←こんな口になっちゃうんですよね(爆)。

言うまでもなくフィギュアというものは立体物なので、たとえ一番絵になるキメ構図があったとしても、360°クルクル回して楽しめることが前提となります。となると元絵の再現性は多少犠牲にしても立体として破綻のない形を優先せざるを得ないんですね〜。試行錯誤した結果、上の画像のような形になった訳なんですが、ここからさらに微修正を繰り返していきます。


10’12/29
シッポを作ります。こんなデカいシッポを全部パテで作っていると大変なことになるので、芯に発泡スチロールを使用しました。こーゆー作り方は初めてだったのでうまくいくか不安だったんですが、結果はまずまず。発泡スチロールはエポパテと結構相性がよく、しっかりくっついてくれます(プラスチックなんだから当たり前か)。でもそのままでは狙った形にならなかったので、途中で切ったりひねったりしながら形を整えていきました。結果出来上がった物は見た目よりかなり軽くできたんですが……デカいなァこれ(汗)。これを複製するとなると、かなりのシリコーンとレジンが必要になりますね。シリコーンは石膏でバックアップするとして、レジンは…中空成形してみるか? でもアレって失敗率高いんだよなァ…。
髪の毛も作りましょう。なるべくマント状に拡げて、見た目にボリュームを出しながらも軽く作るようにします。こちらはレジン棒をライターで炙って曲げた物を芯にしました。ただし曲げたレジンは再び加熱すると元に戻ってしまうので、エポパテの硬化促進をする際には注意が必要です。
髪の毛とシッポが追加されました。おぉ、なんか元絵の雰囲気になってきましたよ♪ 服や細かい装飾はほとんどないので、仕上げは楽そうですね〜。でも分割はどうしよう(汗)?

頭部は12/26分よりひと回り小さくしました。1/6の大きさとしては元のほうが正しかったんですが、元絵にはかなりパースがついているので、それを再現するための小型化です。表面を削って小さくしたのではなく、ガンプラよろしくノコで縦横に割って幅詰めしました(笑)。おかげですごい小顔のモデル体型に。

ちなみにシッポと髪の製作で、軽量エポパテを一気に三箱消費! これまでの作業で計五箱が消えました。これほどの大量消費は私史上初ですよ。さすが1/6!! 特に四箱目は開封後30分で消滅! さすが巨大シッポ!!!


11’01/09
フィギュアの表面処理というのはなかなか厄介で、単に紙ヤスリで撫でているだけでは凸凹のまま滑らかになるだけで、一向にキレイな餅肌にはなりません。そこで金属ヤスリ(半丸が便利)を使う訳ですが、なるべく手首のスナップを使いフィギュア表面の曲線に沿って削るようにしましょう。

←この画像のように側面から光を当てると、光が当たった部分と影の部分の間で、影色が急に変化している部分に気付くと思います(赤線で示したあたり)。こういう部分は表面が出っ張っているので、ここを狙って削っていくとよいでしょう。

さらに表面を指で撫でて、凸凹を感じ取ることも大切です。凹んでいる部分にはパテ盛りをする訳ですが、凹んだ場所というのは一旦目を離してしまうと、どこにあったか分からなくなってしまうことが多く、結局盛り忘れるということがよくあります。

そこでパテ盛りすべき箇所には、シャーペン(鉛筆)で印をつけておくようにしましょう。全身をチェックしたあとでまとめてパテ盛りすれば、作業もはかどります。

ケモノ独特の表現である体毛を追加。毎度のことながら、これは加減が難しいですね。やりすぎるとくどくなるし、少ないと物足りません。今回は……足首まわりにもう少し足してみようかしら?
部品分割も一応完了しました。合わせ目は決めアングルから見たときに目立たない位置に設定しましたが、合わせ目消しが必須作業になるのは致し方ないですね。

画像を見ると『もうほとんど完成じゃん?』と思えるかもしれませんが、髪の毛やシッポの造形で悩んでいる部分があるので、もう少しいじります。間に合うか!?


11’01/21
表面処理をします。

←画像はその第一段階で、サーフェイサー500を筆塗りした状態です。キズを埋めるのが目的なので、薄めずに濃い原液のままボテボテと塗っていきましょう。目立つキズをタミヤパテで埋めたあと、スピンヤスリでペーパーがけ。さらに同じ工程をもう一度繰り返します。

キズが大体埋まったらサーフェイサー1200をハンドピースで吹き付けて、残ったキズをパテでひとつづつ潰していきます。この作業はひたすら根気あるのみ!

フィギュアの表面処理というのは、やっていて最もつまらない作業のひとつで、私の場合ひどく眠くなるのが困り物。まるで催眠術のようによく効きます(笑)。昼間でもコシコシやりながらガクッと意識が落ちることがありますし、入浴後にやろうものなら最悪です。そんな睡魔と闘いながら、なんとか磨き終わりました。

ペーパーがけは何番までおこなうのか?というのはなかなか悩みどころですが、私的には600番程度で充分だと思います。キット化した物をユーザーが製作する際には、表面をペーパーで一皮むいてしまう訳なので、あまりツルピカにしても意味がありません。まぁツルツルのほうが、シリコーン型の持ちはよくなるんですが…。

無事に原型完成です! 分割はこうなりました。胴体はなんとなく『ちんぴょろすぽーん』なカンジ(笑)? 全8パーツ(これにベースが付きます)と数は少ないですが、ひとつひとつはかなり大振りですね。胸には暫定的にマスキングテープを貼っていますが、ここに貼るお札はシールで再現する予定です。接合面のダボにはBB弾を使ってみました。これから型埋め→複製→仕上げときて、完成です!

ちなみにこのキットは見ての通り、仕上げの際に何ヶ所か合わせ目を消す必要があります。工作の手順としては…
 1)バラバラの状態で仕上げと塗装をすませる
 2)各部品を接着。合わせ目を消す。
 3)塗装がハガれた部分をリタッチする。
…というのが正しいかと。シッポと頭部は接着せずに差し込んでおくだけ(シッポは手に乗せるだけ)の方が、収納のときに便利だと思います。

完成画像はこちら!⇒Galleryボタン
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