Let's TRY ビギナーズ!実録版 MSV編『補習編』

MG誌10’2月号(No.303)
第42回 プレリュードZZ(笑)(キットレビュー編)
さて、またまた新章突入となりましたこのコーナー! ホントいつまで続くんでしょうか(笑)? 今度の題材は『1/144HGダブルゼータガンダム』です。HG(ハイグレード)の名を冠した最初期のシリーズですが、発売は1991年(!)とけっこう古いので、よく知らない人も多いと思います。なので今回は、ちょっち詳しくキットレビューしてみましょう。

そもそもこのHGシリーズはガンプラ10周年を記念して企画された物で、歴代のガンダムを当時の最高技術で蘇らせよう…という、まさにガンプラが二周目に突入した最初の一歩だったのです。『HG(ハイグレード)』という冠も、当時のバンダイ側の意気込みの現れだったと言えるでしょう。
シリーズは『ガンダム』『Zガンダム』『ガンダムMK-II』の順に発売され、これでシリーズ終了か…とささやかれたものの、一年の間を置いてようやく『ZZガンダム』の登場となりました。ですが事実上、初期HGシリーズはここで打ち切りとなってしまいます(もっともこのころは、続々再キット化するほどガンダムの種類も多くなかった)。その後バンダイはHGという冠の高級感が気に入ったのか、『Vガンダム』『Gガンダム』等の1/100シリーズに最初からHGを付け、当初のHGとはやや意味が異なった流れができてしまい、この流れは現在のHGおよびHGUCシリーズが始まるまで続くことになります。

あ、横置きのボックスアートというのも当時はけっこう斬新でした。

さてそんなキットの内容ですが、HGの冠がしめす通りの野心作となっています。
まずシステムインジェクションの採用で、一部の部品が最初から色分けされています。これは画期的な技術だったのですが、『金型生産のコストがかかる』『金型が痛みやすい(HGガンダムはガンプラ唯一の絶版)』『塗装するモデラーにとっては意味がない(部品分けしてあった方がありがたい)』といった理由で、現在はあまり使われなくなってしまいました。でもケロロ軍曹シリーズなどで、その技術の進化系を見ることができます(ランナーから切り取るだけで可動するケロン人ボディ等。この技術の元祖は仮面ライダーBLUCKのプラモかな?)。

さらにABS樹脂製部品が採用され、可変モデルの強度アップに一役買っています。ABSを使ったガンプラというのはこれが初めてではないでしょうか?
可変ギミックはこれ以前に発売されていた『1/100ZZガンダム』や『1/144ハイコンプリートモデルZZガンダム』ですでに確立されており、特にこのキットはハイコンの設計をほぼトレスした内容となっています。

仮組みしてみました。当時としては水準以上の内容だったのですが、やはり今の目で見るとツライ物がありますね(汗)。何だかあちこち部分的に大きすぎて、モコモコした着ぐるみを着ているような印象です。小さい部分を大きくして行くとどんどんでっかくなりそうなので、大きい部分を小さくして行く方向で作業してみようかな?
Gフォートレス・コアトップ・コアファイター・コアベースの各形態です。こちらはさすがにまとまっていてカッコイイ印象ですが、目立たない問題点も抱えています。『胸と背中を合わせると両肩のダクトが斜めになってしまう』『きちんと気を付けできずに腕が広がってしまう』『垂直翼とビームサーベルが干渉する』等々……。けっこう大変です(汗)。コアトップにコアファイターが固定できないのも問題ですね〜。
ビームサーベルを持つ手は右手のみ。でも劇中では右手にライフル、左手にサーベルの組み合わせが多かったので(後期オープニングで印象的なファンネル斬りもそう)、サーベル用の左手を作ろうかな?
とれるポーズはこれくらい。

各関節はほぼ及第点なんですが、股関節が前後にほとんど動かないので、できるポーズは限られて来ます。足首が左右に振れず踏ん張りが利かないのも、ZZの宿命ですね。うーん、なんとかせねば…。

ちなみにこのキットは過去にMG誌91年10〜11月号において、澤田博史氏による作例が掲載されています。『君にも作れる、キット改造攻略法』と題されたシリーズで、レットラの元祖的な企画ですね(笑)。当時の私も大好きで、よく参考にしたものでした。

なかなか的を射た良作例なので、バックナンバーを持っている人はチェックしてみるべし。

これはカトキ氏によりマスターグレード開発用に描かれた画縞です。このバランスがけっこう私の理想とするZZに近いので、これを手本として作業を進めて行きたいと思います。さらにキットの説明書にあるカトキ画もなかなか魅力的なので、このテイストも加味できるといいな…。

デザインの話が出たので、アニメ板ZZガンダムのデザイン完成にいたる経緯もついでに語っておきましょう(←ウンチクたれ)。

アニメ『機動戦士ガンダムZZ』は、当然前番組『機動戦士Zガンダム』の続編として企画されたものですが、製作のGOサインが出たのはZガンダム終盤に入ってからだったらしく、かなり突貫工事で作業が進められました。そのため時間稼ぎとして第一話は、これまでの総集編的な内容の『プレリュードZZ』が放送されています。そんな中でも特に難航したのが主役MS、ZZのデザイン作業でした。

『ファーストガンダムのGアーマーから直接MSに変形するような物を…』というコンセプトでデザインが進められたものの、当初担当デザイナーであった永野護氏の手では完成にいたらず、結局小林誠氏の基本デザインを元に、明貴美加氏や岡本英郎氏の手でまとめられました。この辺のゴタゴタは当時リアルタイムでアニメ誌を見ていた諸君なら記憶していると思います。ゴタゴタの例としては、最初に発表されたデザインにはGフォートレスの機首がなく、胸の下から直接ダブルライフルの砲身が生えている形になっていたりしました(その後急遽機首とコクピットが追加されたそうです)。

そうして完成したZZのデザインですが、やはりデザインを煮詰める時間がなかったせいか、子供向けにはアピールできるデザインであったかもしれませんが(変形・合体・必殺技など)、設定好きのコアなファンの目から見ると穴が多い(ツッコミ所が多い)物となってしまいました。そのツッコミ所を列挙してみましょう。

1)Gフォートレス時にむき出しになるコアファイター
 Gフォートレスを裏から見るのは厳禁です(笑)。いかにも弱点といった感じ。

2)コアトップ(Aパーツ)のエンジンはどこ?
 せいぜいライフル内部くらいにしかまとまったスペースがありません。

3)それに対してハイパワーすぎるコアベース(Bパーツ)
 せめてバックパックがコアトップ側にあれば……。

4)手首から出るバーニャ
 初めて見た時はぶったまげました(笑)。

5)複雑でデザイン上の弱点でもある足の変形だが、その割にあまり意味がない
 ギミック的には面白いんですが、変形したからといって空気抵抗が減る様子もなし……。

6)どうやって着陸するの?
 劇中の着陸シーンはうまくごまかされています。マスターグレードでは着陸脚が設定されました。

これらの問題点を解消する目的でデザインされたのがスペリオルガンダムであることを、ご存知の方も多いでしょう。
そんな理由もあってか、ZZは歴代ガンダムの中でもあまり人気のある方ではないようです(泣)。私自身もさほど好きなMSというワケではなかったので、過去には旧1/144キットにちょこっと手をつけただけでした(完成せず)。
ですが今回のZZ製作が決まったとき、レコーダーに録り溜めしていたNHKの『ガンダム宇宙世紀大全』を、ちょうどタイミングよく観ている最中だったんですね。本放送以来久々に観るZZは(わずか数話ではあるものの)けっこう面白く、俄然気分が乗って来ました♪(←単純) これもガンプラの神様の引き合わせだと思うので、これから張り切って製作したいと思います。お楽しみに〜!!


MG誌10’3月号(No.304)
第43回 始動!ZZ(肩関節編)
HGと旧キットの腕全体を、同縮尺で比較してみました。長さはほぼ同じなんですが、やはり太さの違いが顕著ですね。

肩アーマーの白い部分は、旧キットの方が角度が急でとんがった印象です。どちらを選ぶかは好みが別れる所でしょうが、私はHGの方が好きかな? その上の青いバインダーは旧キットの方がボリュームがあり、カッコイイのでこちらを採用予定。

シールド(飛行形態の主翼)はHGの方がはるかに大きいんですが、大きすぎる嫌いがありますし、旧キットの方がバランス的には正解のような気がします。


MG誌10’4月号(No.305)
第44回 手首とバーニャと(前腕編)
HGの前腕部分です。

なんとか修正して使えないかと思ったんですが、長さが足りない上、延長しようにも強度の確保が困難な形状なので、思い切って丸ごと作り直すことにしました。

『作り直し』と聞くと尻込みする人もいるかと思いますが、最終的には仕上げも楽で強度も確保できたりするので、ぜひ挑戦してみて下さい。

肘関節付近の形状がMG誌掲載の写真では分かりにくかったので、こちらにて公開! 肘部分に1mmプラ板を貼り足すことで、手首が入る左右幅(9mm)を確保しています。

MG誌10’5月号(No.306) 第45回 収納の嵐(前腕編2)
補足すべき内容、特になし!

MG誌10’6月号(No.307)
第46回 シールドの決意(腕部完成編)
これは手首バーニャの付け根に使ったジャンクパーツなんですが、これがなんだか分かりますか?

実はこれ、私が原型を担当したED209(ロボコップ)の部品なんですよね(笑)。レジン抜きしたものがちょうど手元にあったので、使ってみました。

こちらは旧キットとHGのシールドの比較です。

旧キットの方はシールドをピタリと閉じ合わせることはできないんですが、可動のための切り欠きが小さくてカッコイイ。HGはピッタリと閉じますが、切り欠きが大きくて気になります。どっちを取るかは好みの問題ですね。

私はというと、欲張りなので両方のいいとこ取りです!

可動軸の位置をうまく調節することで、なるべくピタリと閉じ、なおかつ切り欠きも小さくて見栄えのいい形を探し出しました。ピタリ感はHGには劣りますが、これならまぁ及第点でしょうか?

改修前後の腕の形を、変形した状態で確認してみましょう。改修済みの右腕が、かなりスッキリした形でまとまっているのが分かると思います。垂直尾翼の位置が内側寄りになっていますが、これはGフォートレス時にビームサーベルとの干渉をなるべく減らすためです。これでどの程度の効果があるかは、合体させてみないと分かりませんが…。
大きな画像でサービス。誌上で積み重ねてきた改修の効果が分かると思います。ひとつひとつ確認してみて下さい。

MG誌10’7月号(No.308)
第47回 青の部品/前編(胸部編)
胸部の可動軸位置の検討は、こんな風におこないました。それぞれパーツ毎に写真を撮り、フォトショでレイヤー分けしてグリグリ動かしながら、適切な可動軸位置を探し出していったワケです。うーん、文明やね(笑)。変形前後で胸と背中の位置が適切になるのはもちろんのこと、修正作業がなるべく楽にできることを念頭に置きながら検討しました。作業が複雑化すると、精度面でも強度面でも問題が出てくるからです。その結果、背中側の可動軸はそのまま生かし、胸側のみ作り替える形に落ち着きました。

MG誌10’8月号(No.309) 第48回 青の部品/後編(胸部編)
補足内容ナシです!

MG誌10’9月号(No.310)
第49回 ガンダムの顔(頭部編)
今回は改修前後の頭部を徹底比較してみましょう。まずはキットの素組みから。表情を分かりやすくするために、目のフチだけ黒く塗っています。全体的に表現はややおとなしめですが、これはこれで充分カッコイイですね♪ モールドを彫り込んでメリハリをつけてやるだけでも、かなりよくなると思います。目は少しドングリ眼かな?
改修後です。アンテナはこのあとさらに修正するのですが、この時点ではここまでです。頬当てを前に出し、モールドを深く彫ったので、ゴツい印象になったと思います。目も少しキレ長になりました。側頭部にある小さなダクトは、最後の段階で取り付ける予定です。
こちらは参考までに、旧1/144ZZの頭部です。ブスに見えますがZZはアニメ設定自体がブスなので(汗)、実は結構似てるんですよね。アニメ設定版のZZを作りたい!という人は、これを選択するテもありですな。

ところでZZって、頭にバルカン砲あるのかな?ないのかな??


MG誌10’10月号(No.311)
第50回 ライフルの砲身は二本ある(ライフル編)
実際に合体すると見えませんが、頭部とライフルの関係はこんな感じになってます。

頭部を背中側に引くギミックを追加したため、キットのままのライフルの幅でもなんとか収まるようになったんですね。そのままの位置ではとても入りません。

ライフルのグリップはキットでは後方に折り畳む方式でしたが、頭部が入る都合上、前に倒す方式に変更。オプティカルセンサーとグリップの収納時の位置関係はこうなっています。お互いの形状が馴染んで、気持ちよく収まりました♪

グリップ先端は少し長過ぎるので、短く削っています。


MG誌10’11月号(No.312)
第51回 難解!コアトップ(上半身完成編)
ここまでの上半身の内容です。やはり実際に変形する物は部品の持つ説得力が違いますね。カッコイイ〜♪ でも右腕がまだそのままだ…(汗)。

MG誌10’12月号(No.313)
第52回 コアさんの事情(コアファイター編)
これはキット素組みのコアファイターです。エンジンブロックが斜め後ろに引き出されたりして、全長を延ばして飛行機っぽく見せる工夫がされていることが分かりますね。でも側面から見ると、機首や黄色いインテークの野暮ったさが気になります。今回の改修は、この辺の印象を変えることが主眼でした。

MG誌11’1月号(No.314)
第53回 ハゲの脅威(ジョイント編)
このとき私は『塗装ハゲ恐怖症』とでも言える状態に陥っており、『何が何でも塗装が剥がれないようにしよう!』と躍起になっていました。そのためコアファイターとコアベースとのジョイントも作り直したんですが、今にして思うとキットのままでもよかった気がします。

何事も『過ぎたるは及ばざるが如し』ですね(泣)。


MG誌11’2月号(No.315)
第54回 鉄壁、エッチングソー(大腿部編)
誌面では小さかった写真をでっかく公開! 左←が素組み、右→が改修版です。ヒザ周りのスカスカ感が軽減されて、MSらしい密度が出ているのが分かるでしょうか? 大腿部が長くなった分ここでスネが短くなっているので、足全体では長さが変わっていません。

MG誌11’3月号(No.316) 第55回 大改造を越えて(スネ編)
補足内容ナシです!

MG誌11’4月号(No.317)
第56回 ポリランナーの黒いバネ(スネ編)
スネ後部からの未公開画像wです。

スネフレームやABS製ストッパーの位置関係などが分かると思います。このギミックを思い付くまで、部品をガチャガチャいじりながら「あーでもない、こーでもない」と2〜3日悩んでいました(汗)。大変だったんだぞ!


MG誌11’5月号(No.318) 第57回 大穴が消えた(足首編)
補足内容ナシです!

MG誌11’6月号(No.319)
第58回 バックパックの夢(背面編)
バックパック裏の段付きプラ板はこんな感じです。

普通のプラ板でもいいんですが、見えない部分のお洒落ってことで♪


MG誌11’7月号(No.320)
第59回 重荷はフツー(背面編)
バックパック可動用のポリパーツはガタつくので、反対面にエポキシパテを盛り付けてしっかり固定できるようにしておくといい感じ。

古いキットはこういうガタつきが結構ストレスになるので、細かくケアしましょう。


MG誌11’8月号(No.321) 第60回 サイブレーション(細部編)
MG誌11’9月号(No.322) 第61回 ボロ直しのころに(前編)(細部編2)
MG誌11’10月号(No.323) 第62回 ボロ直しのころに(後編)(細部編3)
MG誌11’11月号(No.324) 第63回 何度も吹くサーフェイサー(仕上げ編)
以上、補足内容ナシです!

MG誌11’12月号(No.325) 第64回 さらに再臨(再び細部編)
頭部のアップ画像です。素組み状態と比べると、改修ポイントが分かるかな?
こちらはバックバックの可動アームの基部です。変形時の形態保持用ジョイントは、MS時にはこんな感じに収まります。
サフ吹き前の途中画像をドドッとどうぞ! まさに情報のカタマリだ!! ここまで苦労したなァ…(泣)。

MG誌12’1月号(No.326) 第65回 戦士(モデラー)、再び…(完成編)
誌上で紹介したんですが、オススメアイテムなのでこちらでも取り上げます!

塗装する際の部品の持ち手には皆さん色々工夫していると思うんですが、思い付きでこんな物を作ってみました♪

100均で買った木製ピンチ(洗濯バサミ)に、竹串を差し込んだ物です。大小作ったけど、大きい方はあんまり使ってないなァ(汗)。小さい方ならわずか200円で、48個も作ることができます!

何しろ木製なので、先端を自由に加工できるのがミソ。中央にミゾを切れば、ボールジョイントもしっかりホールドできます。木なので当たりが柔らかく、部品を弾いてしまうこともありません。

安物なので洗濯バサミとしての精度は低いですが、かなり使えます。みんなもマネして作ってみよう!

そして塗装後の完成写真は、発売中のMG別冊『Let's TRY ビギナーズ!!!』で確認されたし(笑)!! お疲れさまでした〜!

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